東京都域における緑地内スギ生立木の衰退状況

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概要

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1991年の夏期に、東京都全域を皇居東御苑を中心とする間隔10kmごとの同心円のゾーンに分けて、都内23区ではできるだけ多く、都下三多摩のゾーンでは10箇所程度ずつ、全部で161箇所の緑地を選んで、その中の樹高8m以上のスギ生立木の本数、大きさ、衰退の程度及び生育環境を調べた。この条件に合うスギ生立木のないところは86箇所に及び、都心に近付くほどその密度が濃いことがわかった。また、生育の確認された調査地でも、都心に近いほどスギの衰退が進んでおり、個体の大きさ(樹高、胸高直径)も小さかった。このようなスギの衰退は、都心部ほど著しい大気汚染及び水収支の悪化並びに乾燥化と密接に関連していると考えられる。特に23区では、94箇所を調べたうち、25箇所しかスギの生育している緑地がなかった。その中では、面積が広く緑被率の高い緑地にはやや健全な個体が見られたが、このような緑地でも踏圧の激しいところでは衰退した個体が多かった。
樹木医学会の論文
1998-09-30

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