スピリチュアリティを焦点としたケアのアプローチモデルに関する研究 : パストラルケアにおけるアセスメントの研究史から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は、パストラルケアにおけるスピリチュアリティに対するアセスメントを内容とした文献研究を行い,社会福祉分野の対人援助で活用できるスピリチュアリティを焦点とした有効なアプローチモデルを検討することである.Boisenは統合失調症の患者にケーススタディの方法を用い,質問によるアセスメントを試みる.人間がもつ心的ニーズ,人間関係に存在するニーズ等の様々なニーズの複雑さとその相互関連性に焦点を当てる.Pruyserは,パストラルな診断を基礎付ける「7つの宗教的テーマ」を明示し,スピリチュアルアセスメント項目を上げ,これらを範疇化する.FishとSherryは看護の臨床で,患者のスピリチュアルニーズに応えるパストラルケアの実践方法の確立へ向けて取り組む.特に,宗教的な側面について明確にする.Fitchettは,援助者がいかに人々の霊的安寧(spiritual well-being)やニーズをアセスメントするべきかに関心を寄せ,アセスメントモデル「7×7モデル」を展開する.Boisen,Pruyser,FishとSherry らのモデルは、人間は統合された存在であるとしながら,スピリチュアリティを宗教的なテーマに限定し,その理解を単一的な(one-dimensional)ものに留めている.従って,アセスメントの内容と方法は信仰の本質にかかわる事柄に焦点が置かれる本質的アプローチである.これらの特徴から,前三者のアセスメントモデルは宗教的モデルと称することができる.一方,Fitchettは,スピリチュアリティを広義に理解し,多次元的に捉え,さらには,スピリチュアリティの機能的な側面を重視したモデルであり、スピリチュアルモデルと称することができる.社会福祉の対象者は,生活に関わる複数の文脈(pluralistic context)のなかで,在宅や施設で暮らす生活者である.従ってこの場合,生活支援の立場から宗教の枠組みを超え,スピリチュアリティと生活との相互関係を機能的に捉えることができるスピリチュアルモデルが社会福祉分野の対人援助に有効であると考える.
著者
関連論文
- ディアコニー事業団(Diakonisches Werk)における生と死の教育
- 大韓民国の高齢者福祉における生と死の教育
- 大韓民国の高齢者福祉における生と死の教育
- 特別養護老人ホームの待機者調査にみる待機者及びその介護者へのアウトリーチの必要性
- スピリチュアリティを焦点としたケアのアプローチモデルに関する研究 : パストラルケアにおけるアセスメントの研究史から