中小企業経営者が果たす社会的役割(第1報告,統一論題,日本の中小企業の発展と課題)
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概要
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我が国には421万社の企業が存在するが、中小企業が99.7%を占める。多くの中小企業を一般的にまとめて議論することはできない。多様である。有能な生業・家業者は、その持つ「日本の経営」の伝統を反省し、日本的経営に取り組むことにより、マネジメント化・現代化を進めることが重要である。これは改正中小企業基本法の開業を支援し「やる気と能力のある中小企業」を支援しようとするスタンスであり、中小企業経営の社会責任が明確に示されているといってよい。この中小企業経営の社会責任の明確化のために有効な社会政策として中小企業経営診断がある。圧倒的多数(製造業では88%)が生業・家業経営者であるとき、中小企業経営者(生業・家業経営者)の役割の大きさを実感する。しかし山城(1976)が危惧するように、彼らのすべてがマネジメント化・現代化を達成しているとは言い難い現状も事実である。この懸案を改善し、中小企業経営者の役割を認識させるために、外部者である税理士、会計士、診断士が客観的な視点に立ち、大所高所から手伝う仕事として経営診断がある。外部からの意見も活用しながらマネジメント化・現代化を達成するなかで経営理念を自覚することが中小企業経営者の責務である。経営者の考えが中小企業では手に取るようにみえる。部品であれそれが完成したら消費者に使用・消費される。企業倫理、消費者保護の学習を手伝う仕事はまさに外部者として経営者に関わる税理士、会計士、診断士である。山城のいう中小企業を外部から指導することは「経営教育」としてきわめて重要なことである。
- 2010-06-25