中小企業と中小企業経営 : 協同組織金融機関人の立場から(第2報告,特別講演)
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概要
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中小企業は日本の全企業数の99%を占め、従業者の約78%を支え、国内経済の中核的存在である。しかし、世間一般の関心は高くなく、中学、高校でも中小企業の存在・役割はほとんど教えられていない。また、経営学の分野でも経営のあり方について述べられていることの大半は大企業の経営についてであって、中小企業の経営にそのまま当てはまるとはいえない。大企業の経営と中小企業の経営とどこが違うかといえば、中小企業は大企業と比べ経営資源が圧倒的に少なく、市場支配力-価格決定力をもっていない点である。また、経営の目的が利益を追求-極大化することでは必ずしもなく、経営自体も経営者個人の能力に大きく左右されることでもある。決算書も経営の実態を正しく反映しているとはいえない面もある。しかし、国内産業で重要な役割を果たしており、特に地域経済にとってはなくてはならない存在である。ところがこの中小企業がピーク時にくらべて近年100万先も減少しており、多くの中小企業経営は苦戦している。それは大企業製造業の生産拠点の海外移転とその後の価格破壊などの結果である。これをそのままにしておくと日本経済自体も低迷を深めるおそれがある。デフレはその一現象である。これに対処するためには政策の変更が必要であるが、もう一方で経営自体の改革も必要で、その力になる中小企業経営学が求められる。ただ、中小企業と一口に言っても自営業、小企業、中企業とあり、それぞれに異なる側面があるので、事業領域の位置取りときめ細かいマネジメントのあり方の研究が求められる
- 2010-06-25