小島俊文著ナラヒラタキクイムシに関する知見論考(文献紹介)
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概要
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1.卵は長く,やや唖鈴またはビスケット型をしており,前端に取っ手のような突起を備えている。2.第1齢幼虫はかなり短い頭莢と最後の環節に小さいキチン質の突起をもっていることで成熟幼虫と異なっている。3.幼虫はどの時期にも大腿突起,上咽頭,下咽頭からなっている口器をもつ。4.小腸は幽門の直後に一つの大きな嚢状の裏返しをもっている。5.幼虫のマルピギー管は小腸の後部と接合している。6.雌雄両性は蛹時代には容易に区別されるが,甲虫時代には区別できない。7.睾丸は7個の精巣濾胞(AltsonによればL. brunneusでは6個)からなる。精管と精嚢の附属腺はL. brunneusにおけるよりも遙かに長い。8.卵巣は7本の卵管(AltsonによればL. brunneusでは14本)をもっている。卵杯状部は産卵に適した成熟卵の貯蔵所として役立つ。一つの杯状部に12卵まで確認された。9.卵は木材の維管束の中へのみ産附され,その際雌甲虫は導管毛細管の一定の大きさのものを好む。産卵は75〜78%R.H.,12〜28℃の温度において確認され,最適温度は17〜23℃の間にある。胚発育は6月に最高11日間を要した。10.蛹期間は外界の温度によって異なるが,4月および5月では8〜21日間の間にある。11.甲虫の生存期間は最高38日間であったが,平均では木材から脱出後11〜12日間であった。蛹から発育した甲虫が表面に現れる迄約2日かかる。12.カッコウムシ科の2種Tillus unifasciatusとMonophylla terminataとが捕食虫として確認された。この外コマユバチ科のEubadizon pallidipes Nees,とアシブトコバチ科のPerilampus micans Dalmなどのヒメバチが多く得られた。13.木材はナラヒラタキクイムシの被害に対し,利用に際して辺材を除くか表面に塗料を塗布するなどで導管に栓をすることにより安全に用いられる。幼虫時代に木材の1cmの深さまで粗く鋸でひいた木材の表面にXylamonを塗布すると,すべての幼虫が殺された。
- 1984-01-30
著者
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