G. ウイギンズの「看破」学習 : 1980年代後半のエッセンシャル・スクール連盟における「本質的な問い」を踏まえて
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概要
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本稿は,G. ウィギンズの「看破」学習に注目し,その教育方法論に込められた意図を明らかにするものである。「看破」学習とは,教科の中核にある「重大観念」を「本質的な問い」による探究によって暴き出す(看破する)ことを目指した方法である。ウィギンズが「看破」学習を公言するようになったのは,1980年代後半のことである。当時,彼は,重要なことをすべて教えようとする「網羅」型カリキュラムと,論理的技能の指導に偏った思考技能教授により,「無思慮な習得」が招かれることを憂慮していた。この問題を克服するために,彼は「問い」を追求し続けることの重要性を主張していた。例えば,当時彼が研究部長を務めていたエッセンシャル・スクール連盟では,「本質的な問い」を軸にカリキュラムを編成することが試みられていた。その「本質的な問い」は「学問の構造に迫る問い」と「性向に注目する問い」の2つに分類することができる。ウィギンズは,適切な性向を伴った探究を要求していた。それは現在,「理解の六側面」に基づいて設定されるパフォーマンス群によって評価されることになっており,そのようなパフォーマンスが発揮される状況を評価課題に設定することは「真正の評価」論として提起されていた。ウィギンズの教育方法論は,学問の構造に迫る中で新たな性向を養成することをねらったもので,そのことは評価にまで貫かれている。
- 日本教育方法学会の論文
- 2005-03-31