子どもの「疑問」をはぐくむ指導法 : 神戸伊三郎(奈良女高師附小)の理科学習指導実践の分析
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概要
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自然との出会いを通して子どもが抱く「疑問」を起点、として,どのように学習活動を組織していくかという問題が,大正期以降の理科教育研究を通じて教師たちの大きな実践課題として議論されてきた。そうしたなかで,子どものもっている「科学心の萌芽」への信頼とその「独自生長性」への期待のもとに,子どもの探究過程と授業の展開過程とを密接に関連づけ,独自のアプローチで自然理解にまつわる「子ども研究」を展開した神戸伊三郎の実践と研究は,子どもの「疑問」をはぐくむ指導のあり方を提起している。子ども自身が「『なぜ?』という考えを自分の中に自分ではたらかせる」ことを理科学習指導の最大のねらいとした神戸実践から,次の3点の特徴を抽出した。(1)「興味は環境がつくる」と彼が述べるように,子どもが「科学を楽しめる」環境を組織し,そのなかで,子どもなりのものの見方を「子どもながらに眞」なものとして意味づけ,子どもの「科学心の萌芽」を教師が見出そうとする,教師の指導観の転換である。(2)子どもの発した「なぜ」の質を充実させるために,「結論の予想のひらめき」を出させる指導を展開した点である。「予想のひらめき」を待つことで,目的意識を伴った学習の内的動機を喚起することを重視したのである。(3)相互学習という協同の学びの場において,他者からの「質問」によって子どもの「疑問」の中身を吟味させ,自身の探究活動の自己評価を意識させた個々の独自学習を鍛えていく指導である。
- 日本教育方法学会の論文
- 2003-03-31
著者
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