成立期の実践にみる小学校「国語科」の存立意義 : 1900年代初頭における大阪府師範学校附属小学校の「国語科」実践を中心に
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概要
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本研究の目的は,創設から1世紀を経た小学校「国語科」について,その黎明期における実施状況を解明することである。「国語科」という教科がまだ不安定な時期において,言語そのものの教育に対する意識が極めて高い大阪府師範学校附属小学校の「国語科」実践に着目し,その教授過程や実態,および背後にある「国語科」観について検討を行った。本研究によって,歴史的な観点から,「国語科」に内在する独自の意義について探求する手掛かりを提示できたと考えている。先行研究では,設置された当初,「国語科」は教科書の内容を指導することに傾斜していったと考えられていた。しかし本研究では,このような傾向に抵抗して言語そのものの指導を重視した実践の存在に着目し,その実態や背景についての検討を行った。これまでほとんど用いられてこなかった資料をもとに,1900年代初頭における「国語科」独自の意義を強く意識した教員や実践の存在を,歴史的に実証することができた。それぞれの教科がどのような構成原理を有しているのかということは,教育方法学上の重要な課題である。現在は教科の枠組みそのものが問い直されつつあり,その重要度はより高まっているといえる。本研究はこの重要な課題に対して,歴史的な視座からの貢献を期するものである。
- 2003-03-31
著者
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