1新種の記載を含むボルネオ産のLobesia Guenee属(鱗翅目,ハマキガ科)
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概要
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Lobesia属はヒメハマキガ亜科に属し,東南アジアからは現在までに30種以上が記録されているが,ボルネオからはDiakonoff(1954)によって1種, L. lithogonia Diakonoff,が記録されているにすぎない.今回,大阪府立大学昆虫学研究室に所蔵されているボルネオ産の標本を検討した結果,従来知られていた種以外に,1新種と3新記録種を含む計5種を認めた. 1. Lobesia (Lomaschiza) fetialis (Meyrick)本種とタイ,スリランカに分布するL. (Lom.) genialis Meyrickは外見上は区別できないが,本種では雄交尾器のcucullusの基部が突出しないこと,雌交尾器のsterigmaの前方部がまっすぐであることから区別できる.また, L. (Lom.) bisyringnata sp. nov.と類似するが,本種の雄は後翅の翅頂が突出するため区別できる. 分布:インド,スリランカ,タイ,スマトラ,ジャワ,ボルネオ(新記録),ニューギニア. 2. Lobesia (Lomaschiza) bisyringnata Bae(新種)次の雄交尾器の形態的特微によって本亜属の他種から区別できる;(i)sociusは小さく,刺をもつ,(ii)gnathosは強く硬化し,2つの長い牙のような突起物をもつ,(iii)aedeagusは太い刺状のcarina penisをもつ,そのうちの1つは大きく,他の4つは小さい.分布:ボルネオ. 3. Lobesia (Lobesia) montana Diakonoff ジャワから得られた雌のみによってLomaschiza亜属の1種として記載された.今回,初めてその雄を記載した.雄交尾器の特徴によってLobesia亜属であることが明らかになった.分布:ジャワ,ボルネオ(新記録). 4. Lobesia (Lobesia) lithogonia Diakonoff本種とL. (Lob.) aeolopa Meyrickは外見での区別は難しいが, aeolopaとは雄交尾器のvalvaが短くて幅広いこと,雌交尾器のsterigmaは長いことから区別できる.分布:スリランカ,タイ,台湾,ジャワ,ボルネオ,ニューギニア. 5. Lobesia (Lobesia) transtrifera (Meyrick)オーストラリアから得られた1雌によって記載された.その後,Bae(1993,印刷中)がタイから雄を記載した.分布:タイ,ボルネオ(新記録),オーストラリア.
- 1993-06-30
著者
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〓 良燮
Department Of Biology College Of Natural Sciences University Of Incheon
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〓 良燮
Entomological Laboratory, College of Agriculture, University of Osaka Prefecture
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