アジア産Asterope種群(ウラナミジャノメ属)の再検討
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概要
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アジアに産するウラナミジャノメ属Ypthimaの1種群,asterope種群について分類学的再検討を行った.本種群にはアジア産の2種が含まれ,そのうちの1種Y.asteropeはサハラ以南のアフリカ大陸およびアラビア半島に広く分布しており,アジアではインド亜大陸から知られている.アジア,アフリカ両大陸にまたがって分布している他の幾つかのチョウと同様に本種もメソポタミアからアフガニスタンにかけて分布の大きな空白地帯が見出される.本種群に含まれるもう1つの種,Y.normaは,大陸部ではビルマからインドシナを経て中国南部まで,島嶼部では台湾からフィリピン群島を通ってセレベス,南モルッカ群島,小スンダ列島東部に分布する.大陸部のものは今までY.asteropeの亜種と,島嶼部のものはY.posticalis, Y.pusilla, Y.florensisとしてそれぞれ独立種に考えられていたものである.本論文ではY.asterope, Y.normaの2種について検索を付してそれぞれの再記載を行った.Y.normaの地理的変異については今後より多くの標本に基づいて検討する必要があるが,現時点で9亜種を認めた.asterope種群のチョウは乾燥地域のチョウで,アフリカ大陸で繁栄しており,アフリカ大陸のウラナミジャノメ属Ypthimaの大部分の種が本種群に属するものと考えられる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1985-03-20
著者
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