エンジュおよびイヌエンジュを加害する小蛾エンジュヒメハマキ(新称) Cydia trasias(MEYRICK)について(鱗翅目,ハマキガ科)
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概要
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著者のうちの1人S.LANTOHは1982年6月中旬,大阪府堺市大阪府立大学構内のエンジュSophora japonica L.(マメ科)の新梢にハマキガ科の幼虫が食入し,重大な被害を与えていることを認めた.これを室内飼育し成虫を羽化させて検討した結果,Cydia trasias (MEYRICK)であることが判明した,本種はMEYRICK(1928)により中国北京を模式産地として記載された種で,その後千島列島のクナシリ島から記録されている(DANILEVSKY & KUZNETZOV, 1968)が,本邦からは未発見で寄主植物も不明であった.その後の調査で,本種は北海道および本州の各地に分布し,エンジュのほかイヌエンジュMaackia amurensis RUPR. et MAXIM. var. buergeri(MAXIM.) C.K. SCHN,(マメ科)も加害することや,中国でSophora属の重要害虫として知られる槐小巻蛾Laspeyresia sp.(張,1983)が本種と同一種と見なされることなどが明らかになった.エンジュは緑化樹として,またイヌエンジュは用材として有用であり,造林もされているため今後も害虫として問題になりそうである.本報告において,この種の形態および生態について記載し参考に供したい.本文に入る前に,常々ご助言とはげましをいただく大阪府立大学伊藤修四郎教授,終始ご指導をいただいた保田淑郎博士,標本および有益な情報を提供いただいた林業試験場の山崎三郎氏,果樹試験場盛岡支場の奥俊夫博士にお礼申し上げる.
- 1984-12-20
著者
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駒井 古実
Environmental Planning Department Osaka University Of Arts
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Lantoh Saikeh
サバ州林業試験場
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駒井 古実
大阪府立大学農学部昆虫学教室
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