西イリアン,アルファク山塊産ミナミヒメヒカゲ族(Hypocystini,ジャノメチョウ科)の一新種
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概要
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西イリアンのアルファク山塊で採集された顕著なジャノメチョウの1新種をPlatypthima colorataと命名して記載した.これはPlatypthima decolorに雄交尾器や成虫の形態はよく似ているが,表・裏面ともはっきりした橙色の斑紋をもつ点で区別される.♂の複眼に毛が生えている点でPlatypthima属とすべきであるが,JORDAN(1924)が定義した本属C群(decolor群と呼ぶ)は,Platypthimaの模式種をふくむJORDANのA群(ornata群と呼ぶ)とは雄交尾器が顕著にことなる.JORDAN(1924)はPlatypthimaを雄交尾器から3群にわけたが,その結果は近縁属Erycinidia, Pieridopsisなどの属の分類とともに再検討を要するもののようで,decolor群を最終的にどうあつかうかは,近縁種の全体について交尾器の検査を行ったのちに定めるべきことである.それでここでは暫定的に新種colorataをPlatypthimaの1種として記載した.この種はアルファク山塊以外からは知られず,同地では約2000mの高度で流れに面した明るい斜面や湿地で発見された.午前8〜10時30分にわたり,カザリシロチョウやティトヌストリバネアゲハなどとともに活動する.飛翔は敏活で,なわばり行動を示し,枝やとがった草の葉先によく静止した.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1984-07-20
著者
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