ベニシジミ雌の交尾回避行動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 自然条件下におけるべニシジミLycaena phlaeas daimio Seitzの配偶行動を,福岡市において1974〜1977年の6・7月に観察した.2. 配偶行動は,通常見張り場で静止または吸蜜中の雄が飛翔中の雌に接近することで開始された.3.雄が雌に接近しても交尾が成立した例はきわめて少なかった.交尾不成立に終わった両性間の行動連鎖は四つの夕イプに類型化されたが,雌が未交尾か既交尾であるかに基づく各タイプの出現率には差が認められなかった.4.雌が発現した交尾回避行動は主にハバタキ歩行(翅の振動を伴う歩行)と急速な飛翔朔であり,未交尾雌も既交尾雌も前者を高い頻度で発現した.ハバタキ歩行が雄に対し雌の追跡をやめさせる信号刺激である可能性は否定された.5.交尾が成立した3例の行動連鎖を記載した.この3例において,雌はいずれもハバタキ歩行を発現した後に交尾を受け入れた.雄は雌に対し翅を半開した姿勢で追跡する以外に求愛の誇示行動を示さなかった.6.種々の日齢の未交尾雌を雄に近づけて交尾成立率を調べた結果,日齢0〜2日の雌はほとんど交尾しなかったが,日齢3・4日の雌は60%以上が交尾した.7.雌の交尾前行動と未交尾雌および既交尾雌が示す交尾回避行動が多くの種で類似していることを指摘し,交尾回避行動が信号刺激に発達している可能性が低いことを考察した.
- 1978-09-01
著者
関連論文
- ベニシジミ雌の交尾回避行動
- ベニシジミ雌の交尾回避行動
- ウンシュウミカン園におけるアゲハ卵の空間分布
- アゲハの日当たり産卵数の推定
- 寝場所を利用したマーキング法によるアゲハの移動の研究
- 網かけ法によるアゲハ幼虫期の捕食死亡の評価
- 異なる食物条件下におけるキクズキコモリグモの増殖