感性工学の最近の動向-感性価値創造と感性工学の役割-

概要

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20世紀はいわば機械が中心の世紀であったが,21世紀はあらゆる意味で人間が主体となり,人間との親和性,および人間の住む自然環境,社会環境との親和性が,より良い,より勝れた科学技術として評価されることが期待されている.そのため,技術者の技術的研究だけでは不可能な時代に突入し,今日,このような問題は社会技術全般にわたって問題が散乱していることから,従来の枠組みではとらえられない問題が山積しており,明らかに解くべき科学技術の問題が変わりつつある.その中で最も重要視されなければならないのは「感性」に着目した研究の中に見いだすことが期待されている. 本稿では,前半で,そのような感性の歴史的な経過を概観し,感性研究のあるべき視点と基本的な考え方について述べる.そして後半では,感性工学における感性価値創造の意味について,その位置づけを念頭においていくつかの側面から議論を展開し,その役割と今後の指針となり得る基本概念について述べる.そして,最後に2010年3月にパリで開催されたKEER2010の概要を紹介して,感性工学の研究に関する国際的な動向について述べる.
2010-10-30