知的障害児における文字・書きことばの習得状況と精神年齢との関連
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概要
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本研究は,知的障害児において,どの程度の精神年齢で,どの程度の文字・書きことばの習得が可能なのかを明らかにし,教育実践に役立てることを目的とする。そこで,知的障害児51名に対してグッドイナフ人物画知能検査を実施し,精神年齢(MA)を測定した。同時に,各児の文字・書きことばの習得状況を調査した。文字・書きことばの習得状況については,8段階に区分した文字・書きことばの習得段階にあてはめて分類した。これらの資料を基に,精神年齢と習得状況の関連について検討した。その結果,MA4:0前後で,かな文字のなぞり書きが可能になる。MA4:6過ぎからは,かな文字の視写が可能になり,かな文字単語を自筆で書ける児童も出現し,生活年齢の高い児童の中には書きことばの短文が書ける児童もいる。MA4:6〜MA5:6では,主部述部を伴う書きことば文の書字が可能になり,MA5:6を超える頃から,統語的に正しく,表現したい自己イメージにそった書きことば文の書字が可能になることが明らかになった。また,MA6:6を超える頃から長文の文章書字が可能になるが,一方で,パターン化した文章表現に留まる児童がいることが示された。知的障害児において,文字は単語や文章中で意味ある書きことばとして意識され,文字と書きことばの双方が密接に関連する中で習得が進んでいくと言える。
- 2010-06-20
著者
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