宗教調査論・序説 : 調査者とインフォーマントとの関係を中心に
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概要
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本稿で筆者は、これまで宗教研究の中であまり論じられてこなかった「調査」に焦点をあてる。対象の調査拒否、調査条件としての入信などの問題も重要だが、本稿では、調査者とインフォーマントとの二者関係に注目して論ずる。それは、宗教現象の実証的研究では、文献収集・観察という方法と同等以上に、二者間の面接が重視されているからである。そして、この二者間には政治性と倫理の問題が存在することが確認され、その次善の解決法として、面接中はもとより、その後の記述におけるインフォームド・コンセントの徹底が示唆される。記述に関しては、人類学や社会学などの各分野で試行錯誤が繰り広げられているが、筆者はライフヒストリー法をその一つとして提案する。いずれにせよ、宗教研究をする際、固有の調査方法を追求するという考え方ではなく、広義の社会調査としてとらえ、対象や調査者の分析枠組に適切な、多元的方法により調査がなされるべきであろう。
- 1997-06-14
著者
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- 川橋範子・黒木雅子著, 『混在するめぐみ-ポストコロニアル時代の宗教とフェミニズム-』, 人文書院, 2004年5月刊, 四六判, 213頁, 2,300円+税(書評とリプライ)
- 磯岡哲也著, 『宗教的信念体系の伝播と変容』, 学文社, 1999年3月刊, A5版, 191頁, 2600円+税
- 書評とリプライ 川橋範子・黒木雅子著『混在するめぐみ--ポストコロニアル時代の宗教とフェミニズム』〔含 書評へのリプライ〕
- 発題1「日本社会とキリスト教」の研究史(日本社会とキリスト教,ワークショップ(2),2001年度ワークショップ記録)