社会主義政権下ポーランドにおけるカトリック教会 : 「三月事件」(1968年)に対する教会の見解に着目して
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概要
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社会主義政権下のポーランドにおいて、カトリック教会は民主化を進める一要因となったと言われて来た。本稿は、社会的活動が国家によって制限される傾向にあった社会主義国家で、教会の諸活動がどのように構築されたかを明らかにし、それが、体制・社会の変動にどのような影響を与えたかを考察するものである。事例として「三月事件」を取り上げ、事件に対する教会の見解に着目する。教会内では事件にコミットすることに反対する意見が主流であったが、同時に、首座大司教や、カトリックの知識人グループなど、さまざまな立場・レベルで党を批判する発言も行われていた。教会は、内部に、そのように相反する意見をも抱えて組織体を維持しており、同様に、党も、ただ教条的にイデオロギーに固執していたわけではない。この組織内の多様性こそが組織間の関係にトランザクショナルな性質をもたらし、党と教会の間で妥協や合意形成を可能にし、最終的な体制変動につながったと考えられる。
- 「宗教と社会」学会の論文
- 2004-06-12
著者
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