取次会社との関係からみた書店チェーンの立地展開 : 福岡県を事例として
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概要
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本稿の研究目的は福岡県を事例として書店チェーンの立地展開を取次会社との垂直的企業間関係に着目して分析することである.調査の結果,大手取次帳合の書店と小規模取次帳合の書店との間には店舗規模や店舗形態などに違いが見られた.具体的にはショッピングセンターテナントや都心型の店舗には大手取次帳合書店が多いことや,小規模取次帳合の書店は郡部の出店比率が相対的に高く,店舗規模の小さな書店が多いことなどが明らかになった.さらに福岡県内の書店チェーンを事例として,店舗の立地と主要帳合の関係を分析したところ,帳合が異なるチェーン同士では市場規模の小さい地域においても出店地域が重なる場合が見られ,逆に帳合が同じチェーン同士では,競合を回避する傾向が見られた.日本の流通業界では,メーカーや卸売業者が主導権を握る時代が続いていたが,最近では大手小売チェーンの大規模化や情報化の進展を背景として,小売業への主導権の移動(パワーシフト)が起こっていると言われている.しかし,書籍・雑誌流通業界においては取次会社が単なる商品供給者以上の役割を担っており,チャネル・リーダーとして,川下側へも依然として強い影響力を持っている.このように,小売業のチェーン化による流通の川下へのパワーシフトという現象は,業種毎に一様ではないことが明らかになった.
- 2005-12-30
著者
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