都心地区における土地資産の利用と居住環境からみた人口高齢化 : 東京都千代田区を事例として
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概要
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人口高齢化は基本的に住民の加齢と人口移動により説明されてきた.しかし,人口高齢化は単なる加齢と移動現象だけで説明されるものではなく,さまざまな要因が関係していると考えられる.なかでも第二世代が地区外へ転出するプロセスの説明が重要である.都心地区は,1990年代前後の地価高騰で土地資産の利用ならびに居住環境の激しい変化を経験している.そのため,こうした地区における人口高齢化をあつかうには,住民の土地資産利用と彼らを取り巻く居住環境の変化とを同時に考慮することが求められる.そこで,本稿では東京都千代田区を事例に,都心地区における人口高齢化のメカニズムを,上記の面から説明することを目指した.その結果,以下の点が明らかとなった.住宅地としての性格を持っていた地区が,業務地区へと変化することにともなう地価の高騰によって,住民の所有する土地・建物の資産価値が高まった.第二世代の地区外転出の多くは,土地・建物を資産として運用することで不動産収入を得る,いわば土地所有者として最適な選択を行ったことによるものと考えられる.一方,現在の都心地区の居住環境は生活をする上でさまざまな不都合を生じさせており,第二世代の地区外転出に拍車をかけると同時に,第一世代の単独での住み続けと新たな住民の地区内転入をも困難にした.
- 経済地理学会の論文
- 2005-03-30
著者
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