クワゴマダラヒトリ雌雄型個体の日本からの記録
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概要
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クワゴマダラヒトリにおける2例目の雌雄型個体を記録した.採集データは以下の通りである:1ex.,14.VIII.1994,愛媛県東予市旦之上(標高約100m),山内健生採集.本種は顕著な性的二型を示すため,その雌雄型も非常によく目をひく.しかし,今までに知られている本種の雌雄型の記録は井上(1963)による北海道からの記録のみである.本雌雄型個体は体正中面を境に,左側は完全に雄の特徴を示しているが,頭部右側は薄い焦げ茶色であり,通常の雌雄どちらのものとも異なる色である.右前翅は表裏面とも,焦げ茶色の地色に部分的に淡いクリーム色を交えるモザイク状である.右肩板は淡いクリーム色の毛に混じって,点状に焦げ茶色の毛を有する.しかし,この点状の模様は通常の雌のそれよりも小さい.左側の前翅長は18.6mm,一方右側の前翅長は19.3mmである.左右の前翅長間にわずかな差があるが,これらは,どちらも通常雄のその変異幅に含まれるため,おそらく雌雄型が原因ではないと思われる.左右両方の触角は通常の雄と同様,両櫛歯状である.腹部の特徴は外見上,通常の雄と差がなく,また外部生殖器も完全な雄のものであった.本個体は斑紋,胸部の模様などは,井上(1963)により最初に記録された本種の雌雄型個体とよく似ているが,触角,顔面の色,腹部の色などに違いが認められる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2000-03-31
著者
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山内 健生
Hoshizaki Green Foundation:biosystematics Laboratory Faculty Of Social And Cultural Studies Kyushu U
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山内 健生
Biosystematics Laboratory, Graduate School of Social and Cultural Studies, Kyushu University
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