現代日本における格差の重層的構造
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概要
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今日、日本社会は新しい格差問題に直面している。格差拡大は、「脱工業化・ポストフォーディズム」、「グローバリゼーション」、「新自由主義」、そして「人口構成の変動」といった要因が相互に連関し合いながら引き起こされている。ただし、格差の全般的拡大が日本社会のさまざまな領域で実際にどのような形をとりながら変化を引き起こしているのか、この点については意外なほど論証が不足している。本論文は、現実の格差が、重層的な空間的スケールごとにどのような形態をとっているかを、検証している。これによると、21世紀に入って、日本全国という国家スケールでその内部で富裕な地域とそうでない地域の格差が拡大する傾向が見られ、とくに東京の富裕化が目立つ。さらに、東京都というスケールにおいても、富裕な都心区とそれ以外の格差は拡大傾向にある。また、全国的に見た場合、所得水準の最も高い地域と最も低い地域においてジニ係数で測定した地域内不平等が大きくなる傾向がみられる。こうした多層的な格差拡大が今日の問題の中核をなしていることを、本論文は明らかにした。
著者
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