聴覚障害児の文章理解の特徴に関する研究 : 事実レベルと推論レベルの理解とその関連性の検討
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概要
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本研究は、聴覚障害児の文章理解の特徴を検討するために、物語文の一場面における事実レベルと推論レベルの理解の発達的傾向と両レベルの理解の関係を、健聴児との比較により検討した。対象は、健聴児と同様に音声言語をおもなコミュニケーション手段とする、年齢相応の言語力を有する聴覚障害児とした。検討の結果、年齢相応の言語力を有する聴覚障害児であっても、推論レベルの理解は、健聴児に比べ、低い傾向にあることが示された。しかし、年齢相応の言語発達を示す聴覚障害児は、学年の上昇に伴う推論レベルの理解の向上が示唆された。また、事実レベルの理解と推論レベルの理解との間に直接的な関連がみられないことから、事実レベルの理解は、比較的早い段階で可能になるものの、それによって推論レベルの理解が可能になるとは限らず、推論レベルの理解には、言語力のみならず、経験による知識などの必要性が考えられた。
- 2009-11-30
著者
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