人間ドック受診者における慢性腎臓病と関係する因子の検討
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概要
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慢性腎臓病(CKD)の頻度は加齢とともに増加し,腎不全のみならず心血管疾患のリスクを著明に上昇させる.CKDの発症や進展に関係する危険因子としては高血圧が大きな影響を及ぼすが,本研究では正常血圧の中高齢者においてCKD の存在と関係する因子を検討した.血圧が正常で加療中の疾患を有さない55歳以上の人間ドック受診者276名を対象とした.糸球体濾過量(GFR)推算値(eGFR)<60 mL/分/1.73 m2 あるいは蛋白尿陽性をCKD とし,身体所見や検査所見の中でこれに関係する因子を検討した.276名中30例(10.9%)がCKD に該当した.CKD群は非CKD 群に比べ,男性の割合(83.3 % vs 68.3%),年齢(61.7±4.6 vs 60.7±4.7歳)や肥満度(23.9± 3.0 vs 23.2± 2.5 kg/m2)に有意差はなかったが収縮期血圧が高値であった(121.3±8.9 vs.116.8±10.1 mmHg, p=0.012).また,CKD 群では白血球数(6.44±1.62 vs. 5.60±1.51×103/mm3, p=0.008),血清総蛋白(6.78±0.61 vs. 6.52±0.38 g/dL, p=0.026),空腹時血糖(97.4±10.6 vs. 93.0±9.2 mg/dL, p=0.034)などが有意に高値であり,HDL コレステロール(51.6±14.2 vs. 57.7±13.8 mg/dL, p=0.028)が低値であった.正常血圧中高齢者におけるCKD 発症の危険因子としては,正常範囲であっても血圧が高値であることや,糖・脂質代謝異常や炎症の存在が関与すると考えられる.
- 2010-07-25
著者
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大野 絵里
獨協医科大学内科学(循環器)
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石光 俊彦
獨協医科大学内科学(循環器)
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本多 勇晴
獨協医科大学内科学(循環器)・獨協医科大学健康管理科
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大類 方巳
獨協医科大学健康管理科
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石光 俊彦
東京医科歯科大学 医学部腎臓内科
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石光 俊彦
獨協医科大学 循環器内科
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大類 方巳
獨協医科大学循環器健康管理科
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大類 方巳
獨協医科大学循環器内科健康管理科
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本多 勇晴
獨協医科大学内科学(循環器) : 獨協医科大学健康管理科
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大類 方巳
内科学(循環器) : 健康管理科
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本多 勇晴
獨協医科大学健康管理科
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