落雷によるヒノキ人工林の集団枯損被害
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概要
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茨城県内の58年生のヒノキ人工林内において,直径約40mの楕円形状に集団枯損被害が発生しているのが見つかった.枯損被害の原因は,突発的に,一斉に,集団で発生しているという被害状況から落雷と判断された.落雷以外の原因についても検討したが,該当するものはなかった.集団枯損被害は落雷の発生した翌年4月頃に葉枯れを示して顕在化した.被害が顕在化した当初における被害木集団の範囲は,時間の経過とともに外側に拡大することはなかった.しかし,被害木集団の範囲内では,被害が顕在化した当初には枝枯れまたは半枯れの部分枯れであったものが,時間の経過とともに全枯れに移行する場合があることが明らかになった.全枯れへの移行は穿孔性害虫の加害が原因になったと推測された.落雷によるヒノキ林の集団枯損被害の状況は,既存の報告におけるスギやアカマツの場合と良く合致した.集団枯損被害地に落雷が発生したことが気象データにより確かめられた.気象データおよび被害実態をもとに落雷発生日が特定された.
- 樹木医学会の論文
- 2008-01-31
著者
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河辺 祐嗣
森林総合研究所
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河辺 祐嗣
森林総合研究所森林微生物研究領域
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杉山 正幸
森林総合研究所
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軽部 勲夫
森林総合研究所
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杉山 正幸
独立行政法人森林総合研究所
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松浦 敦士
森林総合研究所研究管理科
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