乳児における数の認知能力 : 男女比較
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概要
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1980年代よりさまざまな研究分野の発展によって,言語獲得以前の乳児でも数の認知能力を持つことが徐々に明らかになってきている。本研究は,これまでの近年の研究をもとに,早期の乳児は1以上の数の計算はできるのか,乳児の数の認知には性差が存在するのか,これら2点のことについて期待違反法を用いて検討を行った。その結果,Wynn(1992)で報告されたものよりも,より高次の計算条件である2+1・1+2でも乳児は弁別できることが示された。これは,Wynn(1992)の仮定している数の認知能力が,より高次の数においても認められることを示唆している。本研究では性差に関しての有意差は認められなかった。しかし,男児に比べ女児の方が,平均2秒から3秒長く刺激を注視するという結果が得られた。この結果は,数の認知能力に性差が見られることを示唆している。すなわち,乳児の認知能力に男女差が存在しているのではないかと推察される。
- 2010-01-31