始原天体有機物研究の今とこれから : I.アミノ酸(<特集>始原天体研究のこれまでとこれから:探査を仲介とした異分野交流)
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概要
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アミノ酸の生成には液体の水を要することから,隕石中のアミノ酸から母天体上の水質変成過程を評価する研究が近年発展してきている.種々の炭素質コンドライト中のアミノ酸の総濃度は水質変成の進行に伴い減少することが明らかとなった.またアミノ酸の成分比についても,水質変成をあまり経験していない隕石ではα-アミノイソ酪酸が多いのに対し,水質変成を著しく経験した隕石ではβ-アラニンが多いという特徴が見出されている.従来ではアミノ酸のL-エナンチオマー過剰は分子雲の円偏光紫外線による不斉光分解によると考えられてきた.しかし,近年の研究ではCM2,CI1コンドライトではL-イソバリンの高い過剰率が検出されたのに対し,始原的なCRコンドライトのイソバリンはほぼラセミ体であったため,アミノ酸の不斉の起源は隕石母天体上での水質作用が関わっている可能性が示された.最近の隕石・彗星中のアミノ酸研究をレビューする.
- 2010-03-25
著者
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