昭和33年版小学校学習指導要領図画工作における「背馳する基準」の記述と考察
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概要
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筆者は,小学校学習指導要領に対する指導書の記述の差異が,法的に根拠された小学校学習指導要領の教育課程の基準という機能に背馳する否定的契機を含むことに注目した。考察は,文部省『小学校図画工作指導書』(1960)による解説が,昭和33年版小学校学習指導要領の外部に配置された,明示的に記述されない拡大された教育課程の基準として機能していることを,そしてその内容には矛盾を含み,恣意的操作を含むことを確認した。本論はその特殊な働きを「背馳する基準」として概念化し,具体的に記述した。「背馳する基準」を具体的な考察対象として確認することは,学校教育制度としての美術教育が包含する,構造的な問題の研究にとって重要な検討契機であると考えたからである。
- 2009-03-21