中性子散乱の最前線 : 結晶PDF解析を中心として(第54回物性若手夏の学校(2009年度),講義ノート)
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概要
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中性子は磁気モーメントをもつが,電荷を持たない粒子である.室温の水などで速度を減速された中性子は,その波長とともに運動量とエネルギーの関係において,物質内の電子スピンや格子の素励起を調べるのに非常に適している.またパルス中性子では広い逆格子空間の散乱パターンを飛行時間法により効率よく測定できることから,その散乱パターンをフーリエ変換することで実空間での二体分布関数(対相関関数)を正確に求めることができる.その特徴を利用して,周期構造をもたないアモルファスの構造から結晶性の物質の構造まで,幅広く物質の構造解析に用いられる.さらにその中間に存在する乱れた結晶性物質やナノ物質の構造解析も可能である.ここではパルス中性子を利用した構造の研究について紹介しながら,一部ではあるがJ-PARC物質・生命科学実験施設の散乱装置もあわせて紹介する.さらに実空間の構造の乱れ,およびその物性とのかかわりについて,最近の研究例を含めてわかりやすく紹介したい.
- 2010-03-05
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