プライマリ・ケアにおける高齢者への心身医療(合同シンポジウム:高齢者の心身医療-高齢者のウエルネスをサポートする心身医療を考える-,2009年,第1回日本心身医学5学会合同集会(東京))

概要

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プライマリ・ケア医は,第一線の診療所において,近接性,継続性,包括性,協調性,責任性の特性をもつ医療活動を行っている.したがって多くの身体的また心理社会的問題をもつ高齢者に対して,全科的医療,心身医療を行うのにふさわしい医師である.当クリニックは,都市部住宅地で内科・小児科・心療内科・耳鼻咽喉科を標榜するプライマリ・ケアのクリニックである.1999年5月〜2004年4月までの5年間に受診した患者4,476人のうち,322人(7.2%)が,心療内科への受診患者であっだ.65歳以上は,64人(19.9%)であり,気分障害,適応障害,不安障害の3つの疾患が65.6%を占めた.この64人の発症契機をみると,配偶者の死,家庭内葛藤,身体的障害の発生が多く,この3者で32件を占めた.プライマリ・ケア医が身につけるべき心身医療の技術としては,narrative based medicineを基盤とする医療面接技法(コミュニケーション技術を含む),biopsychosocial modelに基づくシステム論的な患者評価とアプローチ技法,家族へのアプローチ技法,認知療法,行動療法,向精神薬の使用法などが特に有用である.
2010-03-01