山口市中心市街地の実態と活性化政策
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概要
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本稿では,山口市の中心市街地の実態と活性化政策について,現地での調査やヒアリングの内容にもとづきながら概説し,あわせて,山口市中心市街地の特徴や課題について検討を加える。山口市は人口約19万人の都市である。県庁所在地であるが,人口は下関市に次いで山口県で第2位となっており,県庁所在地への人口の集中という現象は生じていない。また,山口市の中心市街地の最寄り駅であるJR山口駅は山陽新幹線沿線に存在しない。さらに,山口市は人口100万人クラスの都市,例えば広島,北九州,福岡とも一定の距離を保っている。このように,人口や地理的条件において特徴を有する山口市であるが,新しいまちづくり三法のもとでの中心市街地活性化基本計画が早期(平成19年5月)に認定されている。今回の調査,検討は,山口市のような比較的人口規模の小さい県庁所在地における中心市街地の実態および活性化政策にどのような固有の特徴や課題があるのかという問題意識にもとづくものである。本稿は,山口市における調査,山口市中心市街地活性化担当の方々からのヒアリング,その際に配布された資料,および山口市ホームページ上で公開された資料などにもとづいて記述されている。本稿の構成は以下の通りである。第1節では山口市の概要を述べる。第2節では山口市中心市街地の特徴について,中心市街地の範囲,居住人口,構造の特色に注目しながら説明する。第3節において,山口中心市街地の商業活動を示す諸数値について,山口市全体の数値と比較しながら検討する。第4節では山口市中心市街地の通行量の変化を時系列的に検討し,第5節では山口市の商圏や大型店の進出状況について概説する。そして,第6節において,新しいまちづくり三法下における山口市中心市街地活性化基本計画の特徴や意義,課題について考察を行う。第6節までの考察結果をふまえて,第7節では,山口市中心市街地が一定の活力を維持している要因について検討を加える。なお,本稿では中心市街地活性化基本計画について,しばしば基本計画と略して表記するが,特に断りのない限り,基本計画は中心市街地活性化基本計画を意味している。
- 2009-07-31
著者
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