第75回東京女子医科大学学会総会シンポジウム「季節性インフルエンザと新型インフルエンザ」(1)ヒト感染メカニズムとパンデミック
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概要
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ブタ由来の新型インフルエンザは、世界各地に感染が拡大し、World Health Organizationは、今年6月12日に流行危険期フェーズをパンデミック(世界的大流行)を意味する「フェーズ6」に引き上げた。国内においても、今年8月から本格的な流行に入っており、従来の免疫が効かず多くのヒトが新型インフルエンザウイルスに感受性があることから、今後感染のさらなる拡大が危惧されている。現在までのところ、新型ウイルスは、季節性インフルエンザウイルスよりも伝播力は強いものの、季節性ウイルスと同程度の弱毒性ウイルスとされている。高病原性トリインフルエンザウイルスやスペインインフルエンザのパンデミック(スペインかぜ)ウイルスに認める高い病原性やパンデミックに係わる遺伝子の変異は検出されていない。ただし、65歳以上の高齢者では罹患率および死亡率が低いこと、健康な青年層でも一部で重症なウイルス性肺炎を起こすことなど季節性とは異なる特徴もみられる。、 1918年3月に始まったスペインかぜでは、第一波は感染性は高かったものの、致死性ではなかったとされているが、晩秋からの第二波は致死率が約10倍となり、しかも健康な若年者層がもっとも多く死に至ったことが確認されている。その原因は不明であるが、今般の新型インフルエンザについても、今後さらにヒトに適応した変異によって病原性が高まり、重症なインフルエンザの流行を引き起こす可能性がある。ウイルスサーベイランスにおいて、監視すべき性状の変化としては、上気道で効率よく増殖するために重要とされるRNAポリメラーゼ複合体のサブユニットであるPB2の変異、ウイルスの細胞表面ヒトレセプターへのさらなる適合、抗インフルエンザウイルス薬耐性の獲得などがあげられる。いたずらにパニックに陥らず、現実的かつ冷静な対応が求められる。
- 2010-02-25
著者
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