多様化と構造転換のなかの地域政策(<特集>地域政策の分岐点-21世紀の地域政策のあり方をめぐって-)
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概要
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日本の地域政策は第二次世界大戦後登場し,半世紀余の経験がある.日本の地域政策は,世界で最初に地域政策を展開させたイギリスの地域政策から影響を受けているが,その性格はやや複雑である.日本の地域政策で用いられている用語や手法はイギリスのそれと似ているが,その目標や現実の機能は異なっている.経済的機会の平等という地域政策の理念は,基礎概念と枠組みに幅があるため,多義的な解釈を生み出している.このカテゴリーに入る事項は時代文脈によって異なるから,今日の時代にふさわしい把握が必要となろう.地域政策の有効性と手段の実効性を混同することなく,地域政策の評価を進めていくことが求められている.現在は,既往の地域政策が備えていた手段の実効性が減少しているので,地域政策を支える目的と手段の体系を再考し,新たな条件のもとで政策を構想していく時期である.今後の地域政策を考える際には,(1)経済のグローバル化の拡大・深化,(2)人口減少・少子高齢化の進行,(3)環境問題の多様化・多元化と認知構造の変化,という3つの条件を前提においておく必要がある.その上で地域政策が目指すべき方向は,持続可能性(sustainability)に基軸をおいた多元的な地域(主体-環境系)の編成ということになろう.そしてここでは,地域を経済・社会・環境という3つの領域を統合した視点で捉えていく.
- 2009-12-30
著者
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