温浴が僧帽筋の筋硬度と表面筋電図パワースペクトルに及ぼす影響
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概要
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最近,VDT(visual display terminal)作業や長時間の単一作業が原因で,肩凝りや肩腕痛を訴える人が増加している.これらの頸部や肩腕部の頸肩腕障害に対する治療方法の一つとして,入浴や入湯によって患部を温める温浴療法がある.温浴の心・血管系に及ぼす影響についての研究はこれまでにも行われているが,温浴が筋硬度や筋疲労度に与える効果についての研究は見当たらない.そこで,僧帽筋に対する温浴の効果を,筋硬度計で測定した筋硬度と,表面筋電図から得られるmean power frequency (Fm) を指標に用い,13 人の大学生を対象に検討した.湯温を40℃に設定した浴槽に,肩部が全て浸かるように10 分間入浴し,入浴前を対照に,出浴後60 分間にわたって15 分毎に筋硬度と表面筋電図を測定し解析した.全被験者を対象にすると,入浴前の筋硬度とFm の間に相関は認められなかったが,被験者のうちで筋硬度が平均値より高い群では負の相関が認められ,筋の硬さが増すほどFm は低周波化した.Fm は筋疲労に伴って低周波領域にshift(slowing)するので,筋硬度の高い群では筋疲労が相対的に強く起こっていると考えられる.温浴は筋硬度を入浴前に比べて25%も減少させて筋を軟らかくし,出浴後60 分においてもなお6%低値を示した.入浴前後でFm の有意な変化は全被験者対象では認められなかったが,入浴前のFm が平均値より低い群では出浴直後にFm が3%上昇し,出浴後60 分まで高値を維持した. Fm が低い群では温浴により血液循環が促進され蓄積された代謝産物が除去されたことによって筋疲労が改善されたものと推測された.
- 2006-03-31
著者
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