地獄堕ちの能力 : 『事件の核心』考察(上)
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概要
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本編の前半においては、まず『事件の核心』のスコービーの「あわれみ」と「責任感」を分析し、スコービーの「あわれみ」は、相手を見下ろし相手の人生をどうにかできるというエゴイズムを持つことを指摘した。そして「あわれみ」と「責任感」が、スコービーの過去について語られない語りとスコービーの消極的な生き方の原因になっていることを論じた。後半においては、スコービーの「あわれみ」と「責任感」がスコービーとヘレンとの関係、さらにスコービーと神との関係に与えた影響を分析した。そしてスコービーの「あわれみ」がエゴイズムという問題を抱え、またスコービーは致命的な判断ミスを犯しながらも、ルイーズとヘレンと神のための自殺において「愛」を表明し、作者もその点を評価している点を指摘した。
著者
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