看護職の役割期待と職業継続に関する研究
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概要
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本研究は,現場で働く看護職の役割期待と個々の看護師がその役割期待を受け止めている現状を明らかにし,その役割期待と職業の継続との関連を明らかにすることを目的とした.東京都内のA大学病院の外科病棟に勤務する看護師11名を対象に,各1回1時間程度の半構成的面接を行った.データ収集期間は2004年7月から9月に亘った.面接内容は対象者の同意を得てテープに録音し,逐語記録を作成した.データ分析は,逐語記録をもとに,質的帰納的に分析した.その結果,本研究の対象となった看護師は,年齢22歳〜53歳看護師としての経験が最短2年5ヶ月,最長28年であり,全員役職には就いていなかった.対象となった看護師は,看護職としての役割期待として,患者を中心とした関わりをすること,患者のニードを満たすこと,患者の自立を促すこと,看護の専門知識を活かし援助をすること,その場その場の状況に対応すること,医師の介助を行うこと,医療を行う中でミスをしないことと認知していた.対象となった看護師が,役割期待を受け止めている現状の特徴としては,患者との人間関係の形成を臨床の場で行うことでの葛藤曖昧な業務を担い患者のニードを満たすこと,その場その場の状況に対応する中で生じる役割の対立とやりがいの欠如があげられた.