関節リウマチ膝に対するヒアルロン酸関節内注射の効果

概要

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1989年,変形性膝関節症にヒアルロン酸関節内注入療法が認可されてから,内外に多数の報告があり,メタアナリシスでもヒアルロン酸注入が疼痛改善に有用であるとの報告が多い.2000年から,リウマチ膝に対してヒアルロン酸の関節内注入が本邦で始めて認可され,臨床的検討も行われつつあるが,多くは日本語文献であるという非常に限られた報告しかなく,欧米においては検討すらされていない.従って,大規模な臨床研究が今後に行われることを期待して,リウマチ膝に対するヒアルロン酸の効果を中心にして,ヒアルロン酸関節内注入療法の現状をまとめたので報告する.RAの膝関節痛に対するヒアルロン製剤の臨床効果は,第III相比較臨床試験の報告では,最終全般改善度は,中等度改善以上は64.7%.著明改善は19.1%であった.概括安全度は,全く副作用なしが98.6%と非常に安全性が高いことが確認された.症状では,自発痛の改善率が68.6%,圧痛では69.6%,夜間痛では, 69.6%,他動運動痛の改善率は71.2%と良好な症状改善を示している.我々も,prosoectiveに大規模な関節内注入療法の調査を行った.4,997名の自己記入式アンケートを行ったところ,587名(12%)が半年以内に関節内注入を受けていた.注入部位は,膝(61.5%),肩(18.2%)でその他では,手関節,肘関節,足関節の順であった.注入回数は,1〜6回が最も多く,全体の79%を占めていた.使用薬剤はステロイド薬が43%,ヒアルロン酸は37.4%であった.薬品別の注射満足度は,ステロイドでは56.8%が満足を表明し,ヒアルロン酸では54.7%が満足であるという結果を得た. このように,ヒアルロン酸はリウマチ膝の疼痛の改善にも有効であり,しかもステロイド注射と比較しても遜色のない効果が期待できるという結果であった.この結果より,高度に破壊された症例を除き,リウマチ膝で悩んでいる症例にもヒアルロン酸関節内注入療法を行う価値があるのではないかと考えられる.
東京女子医科大学の論文

関節リウマチ膝に対するヒアルロン酸関節内注射の効果

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