医療技術の進歩と約款・告知義務疾病の概念の揺らぎ(パネルディスカッション)
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概要
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2008年5月,保険法が成立した。同法は,生命保険契約,損害保険契約に加え,新たに傷害疾病保険契約についての定めを置いたが,ここでいう「疾病」を如何に解し,定義するかに関しては規定されなかった。しかし,近年の医療技術の急速な進歩は,疾病とは何かを改めて我々に問いかけている。このことは,危険選択の在り方にも影響を与え始めている。告知義務制度における,告知すべき対象としての疾病は,医学の進歩と共に変容してきたが,これは個々の疾病に関する医療技術の発展によるものであった。ところが,近年の問題は,疾病そのものの本質的内容を問うているのである。進歩する医療技術がもたらす疾病概念の揺らぎは,危険選択の対象範囲を曖昧にするだけでなく,そもそも保険者が担保する危険とは何なのか,という問題をも含んでいる。以下本稿では,医療技術の進歩が危険選択に与える影響につき,保険法を基に述べるものとする。
- 日本保険医学会の論文
- 2009-12-17