脳神経科学の進歩と生命保険(パネルディスカッション)
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概要
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脳科学の進歩は,二つの側面から生命保険制度に影響を与え始めた。故意や自由意志の概念を巡る人文科学的な側面と保険医学的な側面である。現在の生命保険制度は,自由意志の存在を前提として運営されてきた。しかし,脳科学は自由意志に対して新たな解釈を要求しており,その結果,法や倫理など生命保険の構成要素の幾つかは根本的な見直しを迫られている。一方,脳科学は,精神神経科領域において診断・治療技術を飛躍的に発展させることに寄与してきた。もはや精神と身体の境界は失われつつある。これらの成果を踏まえ,保険医学の領域でも従来の疾病や障害あるいは死の概念を再検討すべき時にきている。告知や診査,支払など保険実務においても脳科学の知見に基づいた再構成が必要である。画像診断技術の発達は脳機能の可観測性を向上させた。脳の機能や状態の人為的な操作も現実味を帯びてきた。脳科学は,生命保険に本格的な介入を始めたのである。
- 2009-12-17
著者
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