大学入学試験における定性問題の推移
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概要
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高校生にとって,物理は人気のない学科目となりつつある.その原因の一つとして,大学入試の与える影響は大きい.物理学の持つ精密科学性が著しく強調され,出題者側からの作問のし易さ,大量の受験者への対応,過度な客観性の強調などのため,いわゆる計算問題と言われる,定量的な問題が,物理入試問題の殆んどを占めるようになった.その結果,物理思考で最も大切な,定性思考が疎かになり,高校生にとって,物理は計算テクニックであるとか,数学の応用学科目の一種であるといった固定観念を生み出してしまった.大学入試問題を定性的な問題の出題の割合という面から分析すると,物理内容を本当に問う大学入試問題は年と共に減少し,1958年頃までにおおむね,その姿を消したと言える.
- 日本物理教育学会の論文
- 1987-12-10