Au-Ag-Pd-Cu系合金の組成と溶出イオンに関する研究
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概要
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本研究では,Cu含有量を10〜20%とし,Au含有量が金銀パラジウム合金より10〜40%と多く,Pd含有量が5〜20%と少ない,Au-Ag-Pd-Cu系合金81組成について,37℃の0.9%NaCl水溶液中における溶出イオンを定性および定量分析し,市販金銀パラジウム合金と同等あるいはそれ以上の安全性の高い歯科用貴金属合金組成を検討した。各合金からのAgイオン溶出量は,0.3〜7.2μg/cm^2の範囲であった。Agイオンの溶出量は,Au添加量とPd添加量に比較的高い負の相関を示し,AuやPd添加量の増加でAgイオン溶出量が減少した。Agイオンの溶出抑制に関してPd添加の効果の方が,Au添加の効果よりもやや大きい傾向を示した。各合金からのCuイオン溶出量は,0.9〜6.2μg/cm^2の範囲であった。Cuイオン溶出量は,Au添加量とPd添加量に対して負の相関を示しAuやPd添加量の増加でCuイオン溶出量が減少した。いずれの組成においてもAuイオンは検出限界以下であった。また,Pdイオンについても,ほとんどのものが検出限界以下であった。イオン溶出の観点から現在のJIS規格金銀パラジウム合金に代わりうる合金組成を,今回試験をした組成の範囲内で考えると,Pdは最小限10%必要で,この場合Auは40%以上添加する必要がある。また,Pdを15%とするならAuは25%以上添加する必要がある。Pdを現状の20%とするならAuは15%以上添加する必要があることがわかった。
- 東北大学の論文
- 2006-06-30
著者
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