咀嚼系の運動制御に関する研究
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概要
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ヒトの咀嚼における運動制御の特徴を明らかにすることを目的に,正常有歯顎者8名から記録したガム・グミ咀嚼時の下顎切歯の前頭面投影運動経路を楕円フーリエ記述子により記述し,その変動を主成分分析法により解析した。その結果,8名の咀嚼経路の変動は,各々寄与率5%以上の2〜3個の主成分で表現され,累積寄与率は88.2〜94.1%であった。この結果から,咀嚼経路の変動が少数の独立な変動の重畳であることが示唆された。つぎに,主成分値を逆フーリエ変換し,経路の再構成を行って,主成分の解釈を試みた。その結果,第1主成分の増減は全被験者で開閉口路間の幅径の変化を,第2,第3主成分の増減は,一方が経路全体の彎曲の程度を,他方が咬頭嵌合位付近と最大開口位付近の開閉口路間幅径の相反的な増減をもたらし,咀嚼経路の制御方法が被験者間で基本的に相同である可能性が推察された。また,楕円フーリエ記述子は,滑らかで特徴点の設定が困難な動作の解析において,有用な手段となりうる可能性が推察された。
- 東北大学の論文
- 2006-06-30