3.味覚情報神経伝達経路のジェネティックトレーシング(<総説特集I>化学受容から行動までの情報ハイウエイ-3)
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概要
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この10年間、受容体や細胞内情報伝達因子など分子知見が蓄積されただけではなく、味の受容機構が分子、細胞レベルで記述されるに至り、末梢における味覚受容機構に関する理解は飛躍的に深まった。特に、甘味、苦味、酸味の受容は互いに異なる細胞に担われているという知見は、味の識別が末梢の受容細胞レベルで起きていることを示しているという点で非常に重要であろう。しかし、味覚の認知は中枢神経系で行われるのであり、味覚の識別機構を知るには異なる味覚情報が神経系においてそれぞれどのような回路に伝達されるのかを明らかにする必要がある。この問題へのアプローチの一つとして、経シナプストレーサーを用いて味覚情報神経伝達経路の解剖学的解析を行った結果を紹介する。また、経シナプストレーサーの有用性と課題についても言及する。
- 日本味と匂学会の論文