地方消費税の今後の課題について
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概要
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地方消費税は他の地方税と比べて税収の偏在性が少なく安定性を備えた税であり、今後道府県税の主要税目としてその役割はますます重要となってくることから、地方消費税の問題点を改善していく必要がある。本稿では、これまで提案されたあるいは実施されている代表的な地方付加価値税の課税方式を参考にして、地方消費税の今後の課題と変革の方向を検討する。地方消費税において地方団体に自主的な税率設定権を付与することは理論的には可能であるとしても、現行の地方消費税制度の構造的要因、行政区域の狭小さ、および徴税費用の高まりを考慮すると、考察の対象とした課税方式をただちに地方消費税に採用することはほとんど困難である。当面のあいだ、現行の清算方式と一定税率を維持するとして、課税自主権を確保するために譲渡割の賦課徴収については地方税法の本則通り都道府県が行うことが望ましく、清算の基準となる課税標準の推定の精度を高めることが大きな課題である。また、国と地方の税務行政当局者間の情報交換に関して、その向上を図ることも課題となる。
- 2009-09-30