米加針葉樹製材貿易紛争の利害構造と報道にみる「雇用の場としてのカナダ林業」の変遷 : 二国間合意(SLA)の失効までの公共放送CBCのレビューから
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
米加針葉樹製材貿易紛争は3回の紛争を経て,1996年に二国間合意に至り,2001年まで5年間の休戦が続いた。本稿では,その利害構造について先行研究より再評価した。本稿の課題は,1980年代から2002年までの公共放送CBCの報道のレビューに基づき,雇用の場としてのカナダの林業,雇用と自由貿易との相克がどのように伝えられたのか,その論理展開を明らかにすることである。レビューからは,主に米国の国内の問題などと当初は楽観視していたカナダ国内の報道が,1987年以降はカナダの主権や雇用の問題として取り上げていく流れを明らかにした。既存研究では,二国間合意失効の要因として,カナダの州政府同士の軋轢,木材業界,消費者,環境の各団体の圧力などが指摘されている。本稿の分析からは,雇用を取り上げる頻度が増えるなど,二国間合意失効に対して報道機関も役割を果たしたことが読み取れる。
- 2009-11-01
著者
関連論文
- 遺伝資源の利益配分と知的財産権:生物多様性条約の経験から
- 米加針葉樹製材貿易紛争の利害構造と報道にみる「雇用の場としてのカナダ林業」の変遷 : 二国間合意(SLA)の失効までの公共放送CBCのレビューから
- 東山動植物園と都市林「東山の森」の再生に向けて--ローカルな科学と政策の対話 (特集 生物多様性とまちづくり)
- 生物多様性条約の新たな目標と戦略 : ポスト2010年目標, 気候変動とのリンケージ, 科学-政策のインターフェース
- COP10の論点と愛知・名古屋以降の課題 (特集 愛知・名古屋COP10へ向けて)
- 生物多様性・里山の研究動向から考える人間-自然系の環境社会学(研究動向)
- 国連生物多様性条約とCOP10 (特集 生物多様性の日本)
- 森林政策と生物多様性の六次産業化
- リスク・コミュニケーションと企業活動 : 生物多様性に関わる経団連のアンケート事例から(我々は「生態リスク」とどう向き合うのか?)
- 都市における生物多様性・生態系サービスを考える : ローカルな政策と科学の対話の課題