晩年同居の経験をもつ高齢女性の老親としての役割意識と施設生活の受け入れ
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概要
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本研究の目的は,介護老人保健施設に入所中の女性高齢者が,家庭復帰が困難なことを家族との相互関係においてどのように解釈しているかを明らかにすることである.研究デザインは,高齢者が解釈しようとしている現象を記述するために,質的記述的研究方法とした研究参加者は施設入所中の女性高齢者8名であり,対象条件は配偶者の他界後に独居生活を続け,何らかの支援が必要となったときに子どもたちと同居した経験をもっていることとした研究参加者に対して半構成的面接を実施して,面接内容を質的に分析した.その結果,研究参加者が家族に配慮して家庭復帰の困難さを解釈する中核となる意識は,『老親としての役割意識』であった.常に老親として介護を受ける自分の立場から【家族に負担をかける存在を認識】し,介護者となる家族の立場から【介護に対する家族の意向を推察】していた.そして,家族との関係に支障をきたさないように,施設生活は家族の生活を尊重することであり,施設は自分が世話になるという心の負担から開放される場所であると,肯定的な受け止め方をもって,施設生活が【家族と対等な関係の維持】につながると意味づけていた.研究参加者は,施設生活を送りながらも家族の一員としての役割意識から,家族との対等な関係が維持できるほぼ唯一の手段として,施設生活を捉えていることが示唆された.
- 2008-11-01
著者
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