急性期の内科治療を受ける高齢患者のせん妄の発症過程と発症因子の分析
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概要
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本研究の目的は,急性期の内科治療を受けるために入院した高齢者のせん妄がどのような状況で発症するか,その発症過程と発症因子を明らかにすることである.急性期状況にある高齢者は,環境の変化に対する適応力が乏しいという特徴がある.そこで,Royの看護適応モデルを基盤に本研究の概念モデルを作成し,データ収集を行った.対象は,さまざまな疾患で内科治療を受けるために入院した44名である.せん妄は44名中8名(18%)に発症し,発症時期は全員,入院当日から3日目までの期間であった.初発症状の出現からせん妄が完成するまでの時間経過は,3つのパターンに分類できた.せん妄発症後,症状が消失するまでの終息過程もまた,3つのパターンに分類できた.せん妄発症にかかわる因子の分析で有意差(p<.05)が認められたのは,安静療法,ライン類の本数,ヘモグロビン値,脈拍数,口渇,ADL得点,不安反応,頑固・短気な性格の8因子であった.急性期の内科治療を受ける高齢者のせん妄のアセスメントは,入院・治療に伴うせん妄の発症因子だけでなく,それらのストレス因子を高齢者がどのように捉え,反応しているかという点に着目することの重要性が示唆された.
- 1999-11-01
著者
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