脂肪酸ω酸化経路の確立 : 細胞質アルデヒドデヒドロゲナーゼの役割
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概要
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脂肪酸の一部はω-酸化経路およびβ-酸化経路を経てより炭素鎖の少ないジカルボン酸に代謝される。脂肪酸ω-酸化経路は連続する3つの反応を触媒するω-水酸化酵素、アルコールデヒドロゲナーゼ、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼで構成されているが、脂肪酸ω-酸化経路の観点からアルデヒドデヒドロゲナーゼの詳細な性質については十分に解明されていない。著者らはウサギ肝の細胞質画分にω-オキソ脂肪酸に特異性を示すアルデヒドデヒドロゲナーゼを見出している。本論文ではこのアルデヒドデヒドロゲナーゼのウサギ肝の細胞質画分精製、これをコードするcDNAのクローニングとその大腸菌内での発現について報告する。12-oxo lauric acidに特異性を示すAldDHをSDS-PAGEで分子量50 kDaの位置に単一バンドを示す標品にまで精製した。また、500アミノ酸残基からなるアミノ酸配列をもつタンパク質をコードするcDNAをウサギ肝cDNAライブラリーよりクローニングした。cDNAの塩基配列から推定されるアミノ酸配列はヒト由来のレチナールデヒドロゲナーゼと約90%の相同性を有していた。細胞質から精製されたAldDH (AldDH-C)と大腸菌内で発現させたAldDH (AldDH-R)の酵素標品は、ともにω-オキソ脂肪酸を基質として認識し、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を示した。抗AldDH-R抗体はウサギ肝細胞質の12-oxo lauric acidデヒドロゲナーゼ活性をAldDH-Rと同様の割合で阻害した。これらの結果は、脂肪酸ω-酸化経路においてこのAldDHが重要な役割を果たしていることを示唆している。
著者
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