フリーランスの言説スペクトル -英雄・騎士・従僕-
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概要
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本論文の目的は,フリーランスを巡るディスコースの整理・検討を通じて,関連する研究領域の理論的発展に向けた新たな視角を提示することである。 具体的には,まず,特定の企業に所属せずに働く個人としてのフリーランスを巡る言説が台頭した背景について言及する。次いで,様々な角度から論じられ錯綜した様相を織りなす既存の言説スペクトルが,「騎士」言説(自由や自律の側面が強調され,独立独歩の自由騎士を想起させる),「従僕」言説(服従や隷属の側面が強調され,社会に従属する弱者を想起させる),「英雄」言説(自由や自律に加え創造や変革の側面が強調され,ヒロイックな開拓者・先導者を想起させる),の三つに大別されることを示し,各言説の具体的内容を明らかにする。さらに,それぞれの言説が紡ぎだされる力学(言説の背後に潜む,フリーランス,企業,研究者から成る権力関係)について検討する。最後に,一連の論考を踏まえた上で,フリーランスという主体の実践を捉えるための新たな視角を提示する。
- 2009-12-10
著者
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