赤川流域農村における資源利用の変遷 : 天然資源利用衰退の経緯(自由論題論文,1995年秋季大会)
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概要
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この報告では,山形県庄内地方を貫流する1級河川「赤川」流域農村における天然資源利について,主に第2次世界大戦から現在までの,利用と衰退の経緯について検証した報告である。およそ30年前までの,この地域の農村生活は,生活の場,生産の場それぞれに極めて多様で有機的なものであった。稲作地帯であるこの地域の生産の場においては,稲乾燥用の"稲くい"や堆肥にする藁,俵用の藁,それに野菜の支住用の萱や竹が利用された。また,生活の場においては家屋の基礎には川石,屋根葺用に萱が利用され,それぞれに貴重な資源として大事に利用されてきた。しかし,高度経済成長の下,「消費は美徳とまでいわせしめた商品消費型生活環境の着に伴い,直接的には石油化学製品のプラスチックやビニール製の農業用資材,生活用品の急速な普及と,農業構造(農地基盤整備事業や兼業化等)の変化に伴い天然資源利用はほぼ消滅した.さらに,萱の採取地であった入金地も消滅した。これら資源利用衰退の要因,及びその経緯を検証した。
- 林業経済学会の論文