農林業における認定制度の考察 : 認定農家制度を中心に(1996年秋季大会自由論題論文)
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概要
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日本の農林業の経営基盤強化促進を目指した政策には1980年の「農業経営基盤強化促進法」(第12条3項)による「農業経営改善計画」の認定や1979年の「林業等振興資金融通暫定措置法」における「林業経営改善計画」の認定制度などがあった。そしてこれらは,1993年の新たな「農業経営基盤強化促進法」や1996年の「林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法」などにより,いわゆる認定制度の促進が図られようとしている。こうした認定制度は農林業の基盤強化を目指すものであるが,端的には助成金交付や資金融資のための審査基準を拡大緩和していくということであり,実態にそくしたビジョンが欠落していると言わざるを得ない。ここでは先行している認定農業者制度の認定状況を山形県鶴岡市を事例に検証することで,これに追随する形で進められようとしている「認定林業者制度」(仮称)の課題も自ずと明確になってくるであろうと考える。認定農業者制度の最大の問題は,日本農業の現状に立脚せず,農業者の多様なビジョン確立には資することが出来ないということであり,制度自体が構造的欠陥を呈していると言わざるを得ない。
- 林業経済学会の論文
- 1997-03-01